どくどく記 〜読書と独学の記録〜

読んだ本の記録と、独学のアウトプット。現在は情報セキュリティの勉強中。

偏りを恐れない

 

「どんな偉大な思想も偏っている」と読んだのは、いつのことだったか。確かにそうだ、と思った。「あれもこれも読まなければ」という気負いが薄まり、楽になった。

 

自分の思想の偏りを正そうと、さかしく計算して、あちらでは『論語』を読み、こちらでは『聖書』を読み、昨日は『法華経』、今日は『資本論』、明日は『ヴェーダ』を読む……こんなことはやめた方がいいだろう。*1

人間の能力を考えれば、本当に依拠できる古典の数は少ない。作家の佐藤優さんは「2つ」と言っている。

人間の読解速度、理解力には限界があり、出版された全ての書物を読めるはずもない以上、「偏り」は受忍するほかない。

1人では決して完全に至れないからこそ、異なる背景を持つ他者との対話や議論が必要になる。

 

*1:とは言え、「実際にどのようなことが書かれているか」を確認するために、代表的な古典に目を通すのは悪いことではないとは思う。ISに関して論じるなら『コーラン』は読むべきだろう。

速読・多読ではなく熟読へ/本の選び方

 

速読は、基本的に読み返さない。印刷されている文字の形から、その意味するところをイメージとして読み取り、頭の中で次々と映像を流すように情報を処理していく。

これは、百マス計算を解いている時の処理に似ているように思う。

  • 時間をかけない
  • 直観的な処理
  • まっすぐ進み、戻らない

こんな特徴は、速読と百マス計算に共通しているのではないか。

 

一方で熟読は、必要に応じて何度も読み返す。難解な箇所をじっくり考えたり、全体を俯瞰して文脈の中で意味を見出そうとしたり、様々に工夫しながら読む。あえて時間をおいてから、また読み直すこともある。

これは、難解な数学の問題を解く時の作業に似ている。

  • 時間をかける
  • 意識的に思考して処理
  • 迂回し、引き返し、細かい点まで検討する

こんな点が共通している。

 

百マス計算をいくらやっても、難解な数学の問題を解けるようにはならない。

それと同じように、

速読でどれだけ大量の本を読んだとしても、一冊の古典を熟読することによって得られるものには届かないだろう。

大体、印刷技術さえない時代に、すでに現代より優れた知恵が生み出されているのだから、「読む量を増やせば知恵が増す」というのは明確に誤りだとわかる。

価値ある本を深く読まなければ、求めている「教養」には到達しないだろう。

 

 

では、価値ある本とは何なのだろうか。

価値を判断するためには何らかの基準が必要だが、最初はその基準自体がない。人の評価に頼ることになるので、問題は「誰の評価を聞けばいいか」ということになる。

本の帯に書いてある「必読!」はあてにしない。あれは単なる売り文句だ。

新聞の書評欄はどうか。これもあてにならない。評者の読解力や知識水準を見極めなければならないので、近道どころか二度手間になる。Amazonの評価、あるいは書評サイトも同じことで、参照する必要はないと思う。

(ただし、自分の中に「基準」を作ることができれば、参考程度に他人の書評を利用することは可能だろう)

 

となると、個人的によく知っていて、「この人の勧める本なら信頼できる」という人から紹介された本を読むのが一番良い。

大学の文献読解ゼミの必要性は、「読むべき本」と「その本の熟読の仕方」を教えてくれるところにあるのだろう。

 

あるいは、単純に「古典」を選ぶ。古典が古典として残っているのは、過去、多くの人々が評価してきたからだ。

本自体の価値はわからなくても、「時や場所を選ばず評価された」という実績が只ならぬものだ、ということはわかる。

ここに至って、ブックガイドの必要性が生まれる。つまり「この古典は、過去、どんな評価をされてきたか?」ということについてまとめてあるブックガイドなら、読むに値する。岩波文庫などには解説がついているので、それを読んでもいいと思う。

そして、ガイドや解説をたよりに、自分の問題意識に応じて「自分が読むべき古典」を選び取り、それを信じて熟読する。

 

読書を通じて教養に至る道は、これしかないだろうと思う。

 

西部邁『保守思想のための39章』を少しずつ読んでいく

 

先日、評論家の西部邁さんが亡くなりました。

川に飛び込んだとのことです。最後の著書となった『保守の真髄』の中で示唆されていたことではありましたが、こんなに早いとは思っておりませんでした。

ご冥福をお祈り申し上げます。

  

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2017年、買った本は170冊、費やした金額は20万円

 

久しぶりの投稿です。

 

蔵書リストの変化でわかったこと

以前に記事にしたことがありますが、僕は自分の「蔵書リスト」を作っています。

www.redphos.com

 

去年1月の時点では、蔵書数は確か130冊ほど。

この記事を書いている時点で、総数301冊まで増えていました。

リストには本の金額も合わせて記載しているので、その合計額を確かめたところ、約20万円。

 

……。

 

まあ、思ったより買ってないな。

自分としては、「後先考えずバカスカ書いまくったなぁ」と自覚していたので、もっと使っているかと思いました。もっと買ってもいいのかなこれ以上買っても読みきれないので、まあこんなものですね。

 

読むスピードより買うスピードの方が早いので、全部は読めていません。消化率は大体55%です。

ただし、買った本はすぐに全ページパラパラとめくり、重要そうな部分だけは先にチェックするようにしてはいます。ですので、「内容を全く知らないままの本」というのは今の所ありません。

 

どんな本を買っていたか

2017年は、こんな傾向の本を買っていました。

気が向いたらコメント追記します。

 

1.昔読んで感銘を受けたが手放してしまっていた本

日本の弓術 (岩波文庫)

日本の弓術 (岩波文庫)

 

 

精神力 強くなる迷い方 (青春新書INTELLIGENCE)

精神力 強くなる迷い方 (青春新書INTELLIGENCE)

 

 

2.歴史学の本

文明の海洋史観 (中公文庫)

文明の海洋史観 (中公文庫)

 
世界システム論講義: ヨーロッパと近代世界 (ちくま学芸文庫)

世界システム論講義: ヨーロッパと近代世界 (ちくま学芸文庫)

 

 

3.ギリシア古典

教養といえば古典文学。その中でも「ザ・古典・オブ・古典」といえば、古代ギリシアの詩人ホメロスが語ったとされる叙事詩『イリアス』『オデュッセイア』。

テーマとして「教養」を掲げるからには、これらは外しようがない。いつか読まなければならないと思っていたので、2017年に挑戦しました。

イリアス〈上〉 (岩波文庫)

イリアス〈上〉 (岩波文庫)

 
ホメロス オデュッセイア〈上〉 (岩波文庫)

ホメロス オデュッセイア〈上〉 (岩波文庫)

 

『イリアス』と『オデュッセイア』を続けて読みましたが、まったく別の人が語ったのではないか? と感じるほど、全く異なった印象を受けました。

その大きな違いは、人間の在り方。

  • 『イリアス』の世界における人間は、非常に単純な精神構造で、神々の声に翻弄される。
  • 『オデュッセイア』の世界における人間は、内省し、智謀を巡らせ、時に神をも欺く。

この両作品の違いは、古代世界における人間の「意識」のあり方の変化を反映しているのではないか、という仮説が提出されています。 

神々の沈黙―意識の誕生と文明の興亡

神々の沈黙―意識の誕生と文明の興亡

 

非常に興味深い仮説です。これを知ったことで世界観が根底から覆りつつあります。 

 

 

4.絵本 

はらぺこあおむし エリック=カール作

はらぺこあおむし エリック=カール作

 

 

ビロードのうさぎ

ビロードのうさぎ

 

 

「問題を解いた印」をマルにするか、バツにするか?

 

河合薫氏の提唱する独学法「穴あけ勉強法」を試しています。

 

考える力を鍛える「穴あけ」勉強法: 難関資格・東大大学院も一発合格できた!

考える力を鍛える「穴あけ」勉強法: 難関資格・東大大学院も一発合格できた!

 

 

今のところ、いい感じです。

この勉強法自体のレビューもいずれやりたいところですが、先に派生的な話を。

 

最初はバツ印をつけていた

この勉強法では、自分でノートに問題を作り、解いていきます。

問題を解く際、僕は今まで、解けなかった問題にバツ印をつけていました。

つまり「この問題は前に間違えたよ」とわかるようにしておくのです。

 

フラストレーション…

しかし、難しい箇所になると、解けなかった問題が大量に出て来ます。

たくさんの「バツ印」が並んでいるのを見ると、どうしてもフラストレーションが溜まってしまいます。

そして、自然と問題集ノートに手が伸びにくくなっていくのでした。バツ印を見たくないからです。

 

マルをつけることにした

そこで、方法を逆にし、解けた問題にマルをつけていくことにしました。

結果から言うと、こちらの方がモチベーションを維持しやすいことがわかりました。

バツを見るより、マルを見ている方が気持ちいいからです。単純ですが、効果的でした。

 

モチベーション維持のために

たしかに、苦手な場所を発見し、それを重点的に覚えることは必要です。

しかし、その理念を重んじるあまり、勉強自体から遠ざかってしまうのでは意味がありません。

「バツがついてるからもう一度やらなきゃ……」より、「マルをつけたいからやらなきゃ!」と思う方が、つらい勉強にも前向きに取り組めるはずです。

 

まとめ〜継続のための工夫〜

「バツか、マルか」なんて、はっきり言って細かいことです。「そんなこと、どうでもいい」という人もいるでしょう。

しかし、塵も積もれば山となります。

1日単位では細かな違いだとしても、年単位で見れば大きな差になっていくと思っています。

 

独学は、強制力があるものではないので、「継続できるかどうか」が肝になってくきます。

ですから、多少効率が悪くなったとしても、「モチベーションを保ち続けること」の方が重要だと、僕は考えています。

この観点からすると、問題を解いた印は「できなかった問題にバツ」よりも、「できた問題にマル」をつけた方が望ましいと言えそうです。

 

「飽き性」な社会人が勉強・独学を続けるためには?

 

僕は性格的に「飽きっぽい」ところがあります。

次から次へと新しいことに興味を持ち、あれこれ手をつけはするが、どれも中途半端なまま。ただ、裏を返せば「好奇心旺盛である」とも言えます。

 

この特性を、うまく独学に活かせないか。

そう考え、以下のアイデアを実行しつつ検証中です。今のところ、うまく行っていると思います。

「勉強に取り組みたいが、なかなか続かない……」と悩んでいる社会人独学者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

  • 1.学習テーマを1ヶ月ごとに変える
  • 2.休日は勉強しない
  • 3.「目標の7〜3バランス」を覚える
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【メモ】独学で歴史を学ぶとは何か。学者ではない僕たちができること

 

歴史学者は、普段、何をしているのか。 

「史料」を読んで、それが意味するところを解釈し、「過去の出来事」がどのようなものであったか推測する。

そして、自身の歴史観に基づいて「過去の出来事」を筋道の通った物語=「歴史」として描き出していく。

これが歴史学者の仕事なのだろうと思います。

(史料→過去の出来事→歴史)

 

僕たち独学者は、ここまでやれません。

独学で歴史を学ぶとは、結局、「歴史学者が書いた歴史を読む」ということ。

もちろん、自分で史料を読み始めてもいいのでしょうが、僕はそこまで取り組む時間的余裕がない。

ですので、「読書」を通じて「知識の消費」に徹することになります。

(歴史→読書)

 

では、歴史学者が書いた歴史を読んで、独学者は一体何を目指すのか?

(歴史→読書→???)

この問いについては、歴史学者よりもむしろ、実務家の方が書いた本が参考になりそうです。例えば以下のような。

 

大世界史 現代を生きぬく最強の教科書 (文春新書)

大世界史 現代を生きぬく最強の教科書 (文春新書)

 
世界史としての日本史 (小学館新書)

世界史としての日本史 (小学館新書)

 

 

どちらの本にも共通していたのは 「現在起きている出来事を、自分の頭で整理しながら捉えるために、歴史を参照する」という態度なのかな、と思います。

立脚点はあくまで「今・ここ」にあります。

とすると、歴史を学ぶということは単なる「知識」よりむしろ「生き方」の読書に近いスタンスなのではないか、と思われます。

(歴史→読書→生き方)

  

(読書における「知識」や「生き方」というスタンスについてはこちら)

www.redphos.com

 

よく生きるために、歴史を学ぶ。

また、ありきたりな答えになってしまいました。

しかし、必ずしも新奇なアイデアを生む必要はありません。

ごくありふれた考えを、自分自身の思考の結果として再確認することで、そのアイデアは真に自分のものとして身につくと思うからです。

これもまた、思考の機能の一つなのであります。

 

 

読書に臨む3つのスタンス+α

 

「趣味は読書です」という人は多い。

しかし、その人は読書に何を求めているのだろう。読書への取り組み方が一致していないと、同じ「趣味は読書」の人同士でも話が合わないかもしれない。

そこで、僕が思う「読書に臨むスタンス」を3つまとめてみた。

 

  • 1.知識を得るための読書
  • 2.娯楽のための読書
  • 3.生き方を考えるための読書
  • まとめ:本の「種類」ではなく「取り組み方」
  • プラスアルファ
    • 4.自分を誇示するための読書
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社会人が独学で歴史を学ぶメソッドの試案

  • 1.「関心」を養う:ゲームや小説、漫画の活用
    • (1)ゲーム
    • (2)小説や漫画
      • (ア)小説フランス革命
      • 長い余談:国民国家について
      • (イ) 小説十八史略
      • (ウ)虹色のトロツキー
  • 2.「定説」を知る:教科書や参考書を買い直す(H29.10.23加筆)
    • 教科書のコスパは最高
    • 参考書選びのポイント
    • 余談:「定説」の変化について

 

1.「関心」を養う:ゲームや小説、漫画の活用

「好きこそ物の上手なれ」はある程度の真理を含んでいると思います。

関心を持っているもの、興味のあるものに関する事柄は、すぐに記憶できるからです。

これは、脳の中の感情を司る部分「扁桃体」が、記憶を促進してくれるからだそうですが、勉強不足のため詳しいことはわかりません。

要するに、「面白い!」と思っていれば覚えやすくなる、というのは科学的にも根拠のある事実なのだそうです。

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最近の独学状況など

 

集中的なインプット中は、アウトプットに気持ちが向かない燐太郎(@redphos15)です。

とはいえ、これは初めてのことではなく、しばらくすれば自然と筆が進むようになることもわかっています。 

ただ、完全にストップさせてしまうと再開が難しいので、少ない時期でも週2回は投稿できるようにしたいなぁとは思っています。

  • 大航海時代=世界史の「起点」論
  • ウォーラーステインの「世界システム論」
  • 今後の独学のプラン
  • その他に最近買った本
    • なぜ学者の本を選ぶのか
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