どくどく記 〜読書と独学の記録〜

読んだ本の記録と、独学のアウトプット。現在は情報セキュリティの勉強中。

社会人が独学で歴史を学ぶメソッドの試案


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1.「関心」を養う:ゲームや小説、漫画の活用

「好きこそ物の上手なれ」はある程度の真理を含んでいると思います。

関心を持っているもの、興味のあるものに関する事柄は、すぐに記憶できるからです。

これは、脳の中の感情を司る部分「扁桃体」が、記憶を促進してくれるからだそうですが、勉強不足のため詳しいことはわかりません。

要するに、「面白い!」と思っていれば覚えやすくなる、というのは科学的にも根拠のある事実なのだそうです。

 

歴史に対する関心は、どうだったか。

はっきり言って、高校までの歴史の授業はクソつまらないものでした。関心など持ちようがありません。学生時代の自分にとって、歴史とは、単なる「ウンザリするほど量の多い暗記科目」という位置付けでしかありませんでした。

今思い返せば、先生方の工夫や苦労もわかります。どうにかして、生徒たちにわかりやすく歴史の要点を伝えようとしてくれていました。

それでも、当時の自分が「クソつまらないなぁ……」と感じていたことは事実でした。

 

この「つまらない」という気持ちは、大学の歴史学の授業でぶっ飛びます。

一転、「面白い!」と思うようになったのでした。

その理由は「史料を元に、過去を再現していく」という作業自体の面白さにありました。これはまた別の機会に書くかもしれません。

 

 

本題に入るのが遅くなりましたが、「歴史に対する関心」を持つにはどうしたらいいか、という話です。

 

(1)ゲーム

僕が一番いいと思うのはゲームです。

なぜか。楽しく遊んでいるうち、自然と「歴史用語」に対する抵抗感がなくなっていくからです。

歴史を学ぶ上で、この「用語」が壁になっていることが多いと思います。耳慣れない言葉が並んでいるだけで、勉強する意欲は減退してしまいます。

ですから、まずはゲームを通じて、この「用語の壁」を取り払っていくのです。他の手段より、圧倒的に多くの「用語」に慣れることができるはずです。

 

どんなゲームを選ぶか。

歴史の大きな流れを扱ったシミュレーションゲームがいいと思います。パッと浮かぶところでは、「信長の野望」シリーズ、「大航海時代」シリーズなどが挙げられるでしょうか。

このようなゲームは、難しかったり、面倒だったりすることも多いのですが、肝心なのは「ゲームをクリアすること」ではなく、「歴史用語に慣れること」です。飽きたらやめても構いません。

特におすすめなのは「Civilization」シリーズですが、これはどハマりして生活を破壊する危険もあり、諸刃の剣です。

(良ければこちらもご参照ください)

www.redphos.com

 

(2)小説や漫画

他にも、小説や漫画という手もあります。有名なのは司馬遼太郎さんの作品でしょうか。

僕が読んだことのあるもので、おすすめしたいのは以下の作品です。

 

(ア)小説フランス革命
革命のライオン 小説フランス革命 1 (集英社文庫)

革命のライオン 小説フランス革命 1 (集英社文庫)

 

世界史における重要な結節点である「フランス革命」の小説です。

フランス革命は、普通に授業で学んだだけでは、流れがよくわかりませんでした。

「いつ、何があった」と機械的に覚えることはできましたが、それだけでは、この事件の「歴史的な意義」というものを見いだすことは難しかった。

この『小説フランス革命』シリーズを読むと、自分がフランス革命の最中にいるかのような臨場感を味わうことができます。そして、その中で人々が何を考え、何を目指して行動したのかが見えてきます。

もちろん、これは小説=フィクションです。小説の内容をそのまま事実だと受け取ることは避けなければなりませんが、あくまで「関心」を引き起こす上では有用だと思います。

 

長い余談:国民国家について

(軽い余談のつもりが長くなりました。読み飛ばしてくださって大丈夫です)

 

フランス革命の結果、「国民国家」という概念が生まれました。

「国民国家」が誕生する以前は、国とは「王の私的な所有物」つまり「私有財産」でした。だからこそ、王族同士が政略結婚して、よその国を手に入れたりすることができたのです。

ところが、フランス革命を機に、王は国という「私有財産」を奪われることになります。そして、ある一定の範囲(国境)の中に住んでいる者たち=「国民」が国を所有している、ということになりました。

 

さらに、国民は、特定の言語「国語」を話し、特定の歴史「国史」を共有することとなりました。

これが「国民国家」の特徴です。

教育において「国語」と「歴史」が大切だと言われるのは、それらが現代型の国家である「国民国家」を成り立たせるために必要だからでしょう。

 

ところで、この「国民国家」は、めっぽう戦争に強かった。

考えれば納得できると思いますが、王=他人の持ち物のために戦うよりも、国民=自分たちの持ち物のために戦う方が強い。

これは単なる「意識」の問題です。しかし、意識の差は「士気」の差になります。

ナポレオン軍が強かった理由は、彼個人の指揮能力もさることながら、兵として戦ったフランス国民の士気の高さにも求めることができるでしょう。

 

そんなわけで、「国民国家」は一躍流行の国家形態となりました。この流れは現代にまで続いており、実際、現代のほとんどの国家は「国民国家」です。

現代人は、基本的に「国民国家」以外の国を知りません。ですから、現代的な感覚で、昔のフランス革命以前の国際関係を考えてしまうと、意味不明になります。

現代を生きる僕たちが歴史を学ぶ場合、「かつて国とは王の私的な所有物であった」ということを頭に入れておく必要があると思います。

 

なお、近年「国民国家」という概念は力を失いつつある、と論じる人もいます。

なぜか。「国民国家」はその成立過程で、一つの「国民」にならなかったかもしれない人たちを、強引にまとめてきた部分があるからです。

その一例が、最近話題になっているスペインの「カタルーニャ」です。これまで何度も繰り返されてきたカタルーニャ独立の動きは、「国民国家」が弱まってきた流れの一例として位置付けられると思います。

 

この話、日本にとっても無関係ではありません。

日本は、明治維新を経て「国民国家」化する過程で、歴史的には同じ国とは言えない琉球王国の人たちを、沖縄県人=日本国民として統合してきました。現実味のない話だとは思いますが、「琉球独立論」を唱える団体もあります。

www.acsils.org

 

同じことは、北海道=蝦夷にも言えます。

「北海道独立論」を唱える団体があるかはわかりませんでしたが、このような記事を発見できました。

business.nikkeibp.co.jp

 

なんの話でしたっけ?そろそろ本題に戻ります。

サクサク進めていきます。

 

 

(イ) 小説十八史略
小説十八史略(一) (講談社文庫)

小説十八史略(一) (講談社文庫)

 

こちらは中国史。『十八史略』というのは、中国でまとめられた子供向けの歴史本だそうです。その本を、日本語の小説にしたものがこれ。

古代からの様々なエピソードが収録されており、楽しんで読んでいるうちに、自然と中国史のややこしい人名や制度名に慣れていくことができます。

 

 

(ウ)虹色のトロツキー
虹色のトロツキー (1) (中公文庫―コミック版)

虹色のトロツキー (1) (中公文庫―コミック版)

 

日中戦争・支那事変を舞台にした漫画です。

満州をめぐる日本軍部や中国共産党の動向が描かれており、特に近代アジア史への関心を持つことができるでしょう。

人に貸したまま返ってこないので本を参照できず、詳しい紹介ができませんが、面白い漫画です。紹介文が短くて申し訳ないですが、非常にオススメ。

 

 

時間をかけすぎました。ひとまずここまで。余談がメインみたいになってしまった。

「関心」を持ったら、次はどうするか?

続きはまた書きます。

 

 

2.「定説」を知る:教科書や参考書を買い直す(H29.10.23加筆)

続きです。

 

いよいよ、本格的に歴史の知識を身につけていきます。

歴史を学ぶというのは、言葉を変えれば、「歴史学者が積み重ねてきた研究の成果を学ぶ」ということです。

歴史学は学問ですから、「定説」があります。

いずれ「定説」以外のことも学んでいくことになると思いますが、まずは立脚点となる「定説」から取り組むべきでしょう。

人間の知識は、過去の「定説」を乗り越えることで蓄積されてきました。新しいことを学ぶためにこそ、一見古臭くも見える「定説」を知る必要があります。

いわば、批判し、より良いものを作るための叩き台として「定説」を学んでいくわけです。

 

では、「定説」を学ぶために何を使えばいいのか?

意外かもしれませんが、もっともコスパのいい選択肢は「教科書」です。

 

教科書のコスパは最高

なぜ、教科書を使うのか。

教科書は、現時点での歴史学の「定説」がよくまとまっているからです。

 

社会人になってから、日本史・世界史の教科書を買い直し、細かいところまでよく読んでみました。

驚きました。教科書は、実に詳しくわかりやすく、歴史の要点を解説してくれていたからです。大学受験当時は、「単なる知識の羅列」にしか見えていなかった教科書。それは、単に「よく読んでいなかったから」でした。

 

歴史の流れも掴めて、細かな知識も覚えられる教科書。

日本史と世界史を合わせても、2000円あれば手に入ります。

そこらの『2時間でわかる!歴史入門』などの本を買うより、よほどコスパがいい。このような本は、「関心」を高める上では有用ですが、教科書に比べて圧倒的に知識量が少ないので、はっきり言って使えません。

基本は、教科書。なんだか学校の先生のようなことを言ってしまいますが、本心でそう思っています。

 

ただ、教科書には難点もあります。

初学者が一人で取り組むには、教科書は「詳しすぎる」のです。いきなり大量の用語に晒されると、頭がパニックになっていまい、かえって効率が悪いことがあります。

また、「客観的すぎる」という難点もあります。客観的な記述は、正確ではありますが、つまらない。そして、つまらないものをいくら読んでも、なかなか覚えられるものではありません。

 

そこで導入するのが、大学受験の「参考書」です。

 

参考書選びのポイント

どの参考書がいいか。

色々とおすすめの参考書が紹介されていますが、あくまで「自分が読んで面白いかどうか」で選びます。ですから、必ず書店へ行き、じっくり立ち読みしてから決めた方が良いでしょう。

 

強いて基準をあげるとするなら、

  • 詳しすぎないこと
  • 歴史がストーリーとして語られていること

でしょうか。

 

2点目について補足。人間の脳は、「ストーリー」を覚えやすいようにできています。同じことを覚えるのにも、丸暗記と、ストーリーに絡めた暗記とでは、かかる労力が全然違ってきます。これは脳の仕様です。

 

ただし、ストーリーで覚えることには、リスクもあります。

ストーリーには、それを語る者の「偏見」のようなもの(言わば「歴史観」なるもの)が織り込まれている、ということです。

注意点としては、参考書に書かれていることを「絶対不変の真実」だとは思わないこと。これは教科書を読む際にも言えることです。

これらに書かれているのは、あくまでも「現時点での定説」や、歴史に対する「著者の捉え方」です。 

その点を理解しておけば、参考書は歴史学習の強い味方になってくれます。

 

余談:「定説」の変化について

歴史学は、日々進歩しています。

例えば、「いい国(1192)作ろう鎌倉幕府」は、古い知識になりつつあります。

 

従来の歴史学では、いわゆる「鎌倉幕府」の成立年を1192年としてきました。これは、源頼朝が1192年に「征夷大将軍」に任じられたからです。

しかし、「幕府」なるものは、実際には鎌倉時代に存在しません。頼朝は「今日から俺が幕府を主宰する!」と言ったわけではないのです。

後の時代の人たちが、「今思うと、鎌倉時代のあれは幕府だったよね」と判断し、「鎌倉幕府」と呼ぶようになった。これが実際のところです。

 

確かに、1192年に源頼朝が征夷大将軍になった。これは事実です。

しかし、いつの時点で「幕府」が開かれたか、という基準は決まっていない。それこそ「定説」があるだけです。

これまでは「征夷大将軍になった=幕府を開いた」とされていました。

ところが、近年、歴史学の中で、「征夷大将軍以前にも、すでに幕府が成立していたと見ていいのではないか?」という意見が有力になってきました。

従来の「定説」であった「1192年説」が揺らいでいるわけです。

 

……こんな感じで、歴史の「定説」は変化していきます。

ただし、その歩みは非常に遅い。日進月歩のIT技術のような分野とは違い、「定説」が変化するには数十年単位の時間がかかります。

ですから、ひとまずは教科書を押さえておけば、歴史学の基本となる「定説」は身につけられるだろう、というわけです。