どくどく記 〜読書と独学の記録〜

読んだ本の記録と、考えた事のアウトプット。

【メモ】ヨーロッパ近世史を学ぶ際のポイント


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大前提

  • 「領土」と「王家」はイコールではない

→ヴァロア家がフランスを所有している、ハプスブルク家がオーストリアとスペインを所有している、など。

その後、ハプスブルク家の持ち物だったスペインが、ブルボン家(フランス)に移ったことに反対して、「スペイン継承戦争」が起こった。

 

日本について言えば、日本列島と「王家(皇族)」が「日本」として渾然一体のものとして体感される。

だから、近世ヨーロッパの複雑な国際情勢を理解しにくい。

(ローマ教皇を天皇、神聖ローマ皇帝を将軍と見立てて、ヨーロッパ各国を御家人とする。そうすると、日本の戦国時代の様相と似ているかもしれない。ちょうどこの時代を日本史でも「近世」と呼ぶし、というより、そもそも「近世」とは日本史用語だったかな……英語ではearly modernとある。

この比較は、あくまでイメージしやすくするための方便であって、単純にイコールで結びつけて考えることはできない)

 

主権国家形成の過程で、「領土」を基礎的な単位として「国家」がまとまっていくのだろうけど、このあたりは曖昧にしか理解できていない……。

 

これを踏まえた上で、ヨーロッパ内の2つの対立軸を抑えておく。

 

  • フランス(ヴァロア家→ブルボン家)と、ハプスブルク家(オーストリア、スペインを所有)は仲が悪い

「領土」と「王家」を比較してしまっているが、実際このように見えるから仕方ない。

【原因】どちらがヨーロッパを牛耳るか、という競争(ヨーロッパ内での事情)

これはイタリア戦争以来15世紀から続いた対立で、約250年間敵対し続けた。だからこそ、七年戦争の際、オーストリアがプロイセンと戦うためにフランスと手を組んだことが「外交革命」と呼ばれるほどの出来事として受け止められる。

 

  • イギリスとフランスは仲が悪い

【原因】どちらが海外貿易を牛耳るか、という競争(ヨーロッパ外での事情)

これについては、家絡みではなく「国家」同士の抗争に見えるので、割と理解しやすいかな?

「大航海時代」の最終的な勝者は、先駆者スペイン・ポルトガルではなく、新興国オランダだった。イギリスとフランスは、共にオランダと対抗して海外へ進出。その過程で、「北アメリカ」や「インド」において何度も対立することになっていく。

なお、ヨーロッパ諸国が海外に出た理由は、最初は「アジア産の商品の転売」が目的だったが、次第に「原料の確保」と「市場の確保」へと変わっていく。「転売屋」から「加工屋」へと転身していく。

インドについて言えば、最初はインド製の綿布を買っていたわけだが、次第に「これ自分たちで作れるんじゃね??」と思うに至り、北アメリカに綿糸プランテーションを作って「原料」を輸入し、イギリス国内で加工して、インドに売るようになった。

そして、イギリス国内で綿織物を加工する技術がハンパなく進展する過程が、いわゆる「産業革命」と呼ばれる。

また、アメリカのプランテーションに黒人奴隷が連れてこられたり、今なおカリブ海の国々の経済構造が「モノカルチャー」であったり、この時代の出来事が現代の世界にも続いている。

 

脱線しすぎたが……

ともかく、「フランスvsハプスブルク家」「フランスvsイギリス」という、2つのヨーロッパ内の競争構造を念頭に置けば、例えば「スペイン継承戦争と同時に、アメリカ大陸ではアン女王戦争が戦われた」というわけのわからん教科書の説明が、一応整理されて理解できてくる。前者は、ヨーロッパ内の覇権争い。後者は、国際貿易の覇権争い。

 

その上で、

  • プロイセン
  • ロシア

といった新興国に、フランス、ハプスブルク家(オーストリア)、イギリスがどのように対応していったか、という観点から、続く近代史を整理していけば良さそうだ。

 

それから、中世世界では重要なテーマの1つである「神聖ローマ帝国」の扱いについては、近世史では、とりあえず無視してもいいかもしれない。一応、神聖ローマ帝国の範囲内にオーストリアやプロイセンが入ってるわけだが、話がとんでもなく複雑になってしまうので、少なくとも最初の段階では考えないで良いと思う。

同様に、「ローマ教皇」の存在感も薄いので、とりあえずスルー。

というより、「神聖ローマ帝国」と「ローマ教皇」は中世的な要素であって(叙任権闘争、十字軍など中世のメインテーマとなる学習事項は彼らが主役だ)、

十字軍の失敗などを通じて両者の権威が失われ、変わって「王家」の存在感が強まった時代が、いわゆる「西欧近世」として位置づけられているのかな。

 

あるいは、こんなふうに整理できるかもしれない。

中世的世界は、それ自体として、1つのレイヤーにおいて存続している。ここには、依然として「神聖ローマ帝国」「ローマ教皇」が存在感を保っている。また、このレイヤーの中の出来事として「宗教改革」が起こる。

一方で、「近代的な世界」が生まれつつある。これは、宗教的・中世的世界から独立した「世俗国家」の世界。しかし、この動きは最初、「中世的世界」と混じり合って生まれる。イタリア戦争、三十年戦争などは、表向きは宗教をめぐる戦いだが、実態は「世俗権力の構想」だった。

そして、「中世」と「近代」の2つのレイヤーが絡み合っていた時代、それが「近世」と位置づけられるかもしれない。

(……と考えると、現在のイスラム世界は「近世的世界」として解釈できる。トルコ、シリア、エジプトのような「近代国家」が存在する一方、「カリフ」を立てるイスラム国のような「中世的世界の住人」も強い存在感を持っていて、両者が密接に結びつきながら混在している)

 

 

 

この一連のまとめの問題点は、「宗教改革」をほぼスルーしていることだが、それを織り込むのは今の能力では困難だ……引き続き学習を要する。

(例えば、オランダはハプスブルク家の領地だったが、彼らが独立を選んだ動機の1つとして「カルヴァン派の信仰を守るため」というのがあった。オランダが所在するネーデルラントという土地は、北部にカルヴァン派、南部にカトリックが多かったのだが、ハプスブルク家は北部にカトリックを強制しようとした。これに反発して、北部諸州を中心として独立戦争が勃発した。なお、カルヴァン派はその教義から、主に商工業者に多く受け入れられたので、毛織物業と交易で栄えていたネーデルラント北部に多くカルヴァン派が根付いていた……というような話)

 

 

ちなみに、今使っているのは『英語で読む高校世界史』。Amazonのレビューを見ると「自然な英語ではない」なんて評価も散見されるが、末席ながら歴史学の文献も読んだことのある元文学部生の立場からすると、特に問題なく読める英語だと思われる。

中国史だけは固有名詞に苦労するが、特にヨーロッパ史は慣れればスイスイ読める。重要な歴史用語には日本語訳もついているのが親切。いちいち止まらないで進められる。