どくどく記 〜読書と独学の記録〜

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架空戦記「東インド大戦」4:割れゆく世界


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(スマホでは画像が見づらいので横向き推奨)

 

 

1.去る脅威、その行く先は 

本国・エレファン島の遥か南方の島に建設された都市、フローニンゲン。

鉄資源が豊富に産出され、オランダの軍事の要となっているこの都市を、現在、インドネシアの船団が包囲しつつあった。

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(© 2007-2017 Take-Two Interactive Software and its subsidiaries「CivilizationⅤ」より)

彼らの船団の編成は、ガレアス船6隻に、キャラベル船が1隻。

どう見ても、外洋探索というレベルの規模ではない。これは、都市を攻撃するための船団だ。もし、都市フローニンゲンが無防備な状態であったなら、落とされていたかもしれない。

しかし、現在フローニンゲンは、世界最強の海軍であるオランダ・フリゲート艦隊の基地になっている。そう易々とは攻略されない。

挑んでくるならば返り討ちにする。その覚悟は、こちらにはあるのだ。

 

インドネシアは、戦力差を見て「勝てない」と判断したのか、結局何もせずに引き上げていった。

フリゲート艦隊の船員たちは、衝突を回避できたことに胸を撫で下ろし、南洋の民の背中を見送った。

 

……一方その頃、本国のオランダ外交部は「イギリス・インドネシアが日本に対し共同宣戦」という一報を受け取っていた。

 

 

2.「大英同盟」による日本包囲網

話は少し前に遡る。

 

第二次蘭中戦争の最中、実は、国際情勢が大きく変化していたのだった。

その変動の中心となっていたのは、日本。好戦的な日本民族は、隣国・インドに対して幾度となく攻撃を仕掛けていた。

この日本の行動に対して、イギリス及びインドネシアは激怒し、共に非難声明を発表。

さらにイギリスは、「共通の敵・日本」に対抗する仲間として、インド、インドネシアそれぞれと友好宣言を出した。

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インドとインドネシアの間には、直接的な友好関係はない。この同盟は、イギリスを中心としたものだった。

よって、この3国による同盟関係を「大英同盟」と呼ぶことにしよう。

 

一方、日本も孤立していた訳ではなかった。

蘭中戦争が戦われていた折であり、「中国包囲網」に参加していた日本は、その構成国であったオランダ、オスマン、ポルトガルと友好関係を築いていたのだ。

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インドも日本と同じく「中国包囲網」の参加国ではあったが、日本とインドは古来より敵対関係にあり、現在も互いに非難し合う仲であった。

また、ポルトガルは「大英同盟」側の3国とも友好関係を築いており、今後日本の味方になるかどうかは未知数だった。

 

次に動いたのは、オスマンだった。

友好国・日本の危機を前にしたオスマンは、「大英同盟」の盟主・イギリスに対して非難声明を発表。連鎖的に、オスマンとインドネシア、インドとの関係も悪化していった。

オスマンは、完全に日本の側についたのである。

 

 

3.我らの進む道

激動の国際情勢を目の当たりにして、オランダの指導部は紛糾していた。

現在、オランダが取りうる道は3つあった。

(1)何もしない(中立外交)

ポルトガルにならい、全文明との友好を保つよう努力する方針だ。これは、象牙による「賄賂外交」を続けてきた我がオランダの伝統的な外交方針にも合致する。

しかし、指導部の中では「弱腰外交だ」という批判が強かった。

中立を保とうとすると、今後さらに激動するであろう国際社会の中で、「味方」と呼べる勢力がいなくなってしまう可能性がある。

新たに敵対国を作ってでも、今ここで「味方」となる勢力を選ばなければならない。

 

(2)日本に非難声明を出す(日本包囲網に参加)

この案は、「大英同盟」の3国が形成しつつある「日本包囲網」に、オランダも参加する、というものだ。

「中国包囲網」によって国際社会が一時結束したように、次は「日本包囲網」によって国際社会を団結させられる可能性がある。オランダが日本を非難すれば、おそらくポルトガルもそれに続くだろう。

一方、すでにイギリスに非難声明を出しているオスマンは、「日本包囲網」には参加しないだろう。「日本・オスマン連合」と「日本包囲網」との戦いになる。それでも、圧倒的に「包囲網」側が有利な展開になることが予想される。

 

しかし、この案には大きな問題点があった。仮想敵国であるイギリスと共闘することになる、ということだ。

オランダ指導部の中には、イギリスへの不信感が根強く残っていた。というのも、イギリスは、オランダからの友好の申し出を断り続けてきたからだ。

また、「中国包囲網」の構築にあたっても、イギリスは中国への非難声明こそ出したものの、他国のように宣戦することはなかった。この点については、「大英同盟」の一角を占めるインドネシアも同様である。

命運をともにする仲間として選ぶには、イギリスは信用ならない。

 

(3)イギリスに非難声明を出す(対英三国連合)

オスマンとともに、イギリスに非難声明を出す案だ。日本・オスマンと組んで、イギリスを中心とする「大英同盟」と戦うことになるだろう。

宿敵・イギリスとの決戦のためにも、仲間は多いほうがいい。このタイミングでイギリスに非難声明を出せば、日本とオスマンは、今後もオランダの盟友であり続けるだろう。

また、日本とオスマンには、「対中包囲網」でオランダに協力してくれた恩がある。これを返すべきだ、という声も指導部の中には根強かった。

 

閣議の結果、我がオランダは第3案、すなわち、イギリスに非難声明を出し、日本・オスマンとともに「対英三国連合」を結成することを決定した。

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4.東京、陥落 

話は冒頭に戻る。

一触即発だった「大英同盟」と「三国連合」との関係は、「同盟」側によって火がつけられることとなった。イギリスとインドネシアが、日本に対し、共同で宣戦を布告したのだった。

オランダ指導部は、参戦のタイミングについて議論を行っていた。

 

こちらの見立てでは、オランダが介入しなければ日本は滅亡する。

「大英同盟」の戦力の中心は、インドネシア海軍だと思われる。先般、インドネシアがフローニンゲンに派遣してきた船団は、ガレアス船6隻を中心に構成されていた。

このガレアス船が「フリゲート艦」に改修されていた場合、6隻もの大艦隊となる。頭数だけで言えば、我がオランダ・フリゲート艦隊と同等の戦力だ。日本の都市の防衛力では対処しきれない。

 

やがて、日本の都市「東京」がインドネシア海軍によって落とされた、という一報がオランダ外交部にもたらされた。

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(© 2007-2017 Take-Two Interactive Software and its subsidiaries「CivilizationⅤ」より)

遅れて、オランダ海軍によって派遣されていた偵察艦が到着、戦況の確認を行った。

東京を落とした艦隊は、続いて「大阪」に殺到していた。

 

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(© 2007-2017 Take-Two Interactive Software and its subsidiaries「CivilizationⅤ」より)

主敵の正体はインドネシアではなく、イギリス艦隊だった。その主力は、フリゲート艦よりさらに強力な「戦列艦」3隻によって構成されている。

一方、インドネシア海軍は、わずかにフリゲート艦が1隻のみ。おそらく彼らは、東京が戦列艦の砲撃で防衛力を失ったところを狙い、漁夫の利で都市を獲得したに違いない。卑怯な奴らだ。

……そうなると、インドネシア海軍の主力は他の場所にいるはずだ。考えられるのは、日本の首都・京都。日本が滅亡するのはもはや時間の問題と思われた。

 

打って出るべき時だろうか。 

南方のオランダ都市フローニンゲンでは、フリゲート艦隊が出撃の命令を待っている。

しかし、正面からぶつかるだけが戦争のやり方ではない。

オランダ指導部には腹案があった。

「大英同盟を、分断する」