どくどく記 〜読書と独学の記録〜

読んだ本の記録と、考えた事のアウトプット。

「エビデンスに基づく」の意味

 

今日も電車で『究極の食事』の広告を眺めていた。

世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事

世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事

 

 

この本は、Evidence Basedすなわち「統計データに基づいた主張」であり、信頼できる。

 

しかし、重要なことだが、統計に基づいた主張である以上、万人に効果があるわけではない。このことに意識的な者が少ないように思われてならない、最近の「エビデンス」をもてはやす風潮を見ていると。

統計によって得られる結論は、論理的に導かれた100%正しい結論ではない。「たくさん試したら、全体的にはこうなる傾向があるようだ」と言っているに過ぎない。

だから、当てはまらない人がいる。必ず。

 

統計データに基づく主張は、個人を救うものというよりは、社会・国家のレベルで役立てられることを主に想定している。

ナイチンゲールが統計データに基づいて医療環境を改善し、多くの患者を救ったのは有名な話だ。しかし、それだって全ての人が助かったわけではないだろう。

「統計的にはこれを食べると糖尿病になりにくい」と言われ、その通りにしても、個人としては糖尿病になることはあり得る。

それでも、社会全体で見れば、糖尿病になる人の数は確かに減るのである。

この違いを見落としてはならない。

 

 

統計データに基づく主張に従うことは、ある意味で、信仰に近い飛躍が必要とされるかもしれない。多くの人々を救うとはいえ、代替不可能なこの自分自身を救うかどうかは、わからないのだから。

「結局は助からないかもしれないが、ともかく自分は助かる側に入っていると固く信じて、従おう」という態度は、「予定説」の立場をとるカルヴァン派的な心性に似ていると思う。

 

はじめての宗教論 右巻 見えない世界の逆襲 (生活人新書)

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