どくどく記 〜読書と独学の記録〜

読んだ本の記録と、考えた事のアウトプット。

どくどく日誌(3月27日)

 

試験的に記録してみた。

 

朝。『平家物語』を素読。平家打倒の陰謀に関与した後白河法皇を捕らえようとする清盛を、息子の重盛が諌める場面。忠と孝の板挟みになりつつも、自分が正しいと思うことを力強く進めていく重盛の姿には、心から尊敬の念が湧いてくる。彼のような人物でありたいと願う。

続いて、英文只管朗読。『速単』の英文を自然と覚えつつある。いい調子。

 

電車内。'The strange death of Europe'を少し読み進めたあと、昨日気になって買った文春新書の『世界史の新常識』を読む。目的は、歴史定説のアップデート。研究は日々進むので、定期的に新しい定説を更新する必要がある……と思って買ったのだったが、この本はむしろ「現代的な歴史解釈の観点」を提示することが主目的のようである。まあ、それはそれで有用。E.H.カーの「歴史とは、現在と過去との絶え間ない対話である」という言葉には何度も立ち返り続けよう。

 

昼休み。古典新訳文庫版の『生の短さについて』を読む。言葉の選び方は岩波版より好きだ、セネカが親しく語りかけてくれているような文体だから。「自分のために生きる」というスタンスは、張りつめた心がゆるみ安らぐような魅力を感じるが、しかし僕は「社会に貢献する」ことを人のなすべき「道」であると思ってもいる。格好をつけて言えば、「ストア派・仏教」の生き方と「儒教・武士道」の生き方、これらが自分の中で対立している。

ちなみにウィキペディア情報であるが、ストア派で言うところの神とは、キリスト教的超越者ではなく世界に内在する存在であり、宇宙総体そのものなのだという。この見方は華厳的・密教的だと思うし、僕自身が体感している世界観と一致する。だからセネカの著作に惹かれるのかもしれない。

 

国あるいは社会に貢献することが、僕の信じる「道」の1つだとして、それは別に具体的な仕事を通じてのことでなくとも、たとえば「日本人として恥ずかしくない生き方をする」というやり方もあるのではないだろうか。万巻の書を読み尽くして博学になることは、他国人から見て尊敬に値するだろうか。まあ値するだろう。しかし、ただ闇雲に「読了」した本の量を求め、虚ろにページをめくるくらいならば、「この本は教養人としては当然読むべきである」という人心を惑わす言説には耳を貸さず、目の前の一冊を深く読み込むことに専念する、その方が「尊敬に値する日本人」らしい読み方ではないだろうか。量で判断したいやつにはさせておけばいい。

とは言え、やはり日本人として読んでおくべきだと感じる古典があるのも事実で、それらは読んでおきたいと思うのだが、うーん……。

 

ところで、ストア派哲学に対する強烈な違和感の基になっているのが「コスモポリタニズム」だ。これは、いわゆる時代精神とも関係するのかもしれない。ストア派の始祖ゼノンの時代は「ヘレニズム期」であり、セネカの時代は「元首政ローマ」だった。いずれも、当時の人々は「世界は1つになりうる」という感覚を持っていたことだろう。だが、現代日本に生きる僕は、そのような感覚を共有できない。東洋の島国・日本に生まれ育った僕は、とてもじゃないが「世界市民」なんて発想は持てない。むしろ、無邪気にそんなことを信じられるやつをバカにしてさえいる。まあ、少なくとも僕自身に関していえば、どう頑張っても日本人以外にはなれそうもない。世界に目を転じれば、ソ連によるアフガン侵攻後の現代史の流れは、「世界は1つ」よりは「文明の衝突」の時代に見える。まあともかく、ストア派的なコスモポリタニズムを受け入れることは、僕には難しい。

……うーむしかし、「受け入れることが難しい」と言うだけで、ある思想に対する自分の態度の追求を終わりにしてしまえるならば、結局のところ、自己の思想とは「既定のもの」であり、ただ単に読書や対話によってそれを「発見する」ということに過ぎないのだろうか。いや、時に変質もするだろう。しかし、存在の根っこは動かないと思う、おそらくは。

何か物を作るとき、どうしたって材料の制約を受ける。それでいて、作られる物は様々に変化していく可能性を持っている。一個人の思想も同じことだろう。

 

電車内。アプリで語学をやる。英語のほか、中国語、韓国語、フランス語、アラビア語、トルコ語もやっているが、英語以外は今のところ「お遊び」である。意外だったがトルコ語は割と好きかもしれない。どこが、と聞かれると難しいのだが、なんとなく好きな感じがする。

途中駅で運良く座れたので、その後は『金融史がわかれば世界がわかる』を読み進める。第3章に入り、難解になったと感じる。貿易や為替取引のダイナミズムを肌感覚で理解できていないことが問題なのだと思う。まあこればかりは、想像力を駆使して何度も何度も読み直すしかないのだろうか……。あるいは経済小説の助けを借りる手もある。ラノベだが『狼と香辛料』という本も買ってある。昔読んだとき「なんだか小難しいなぁ」と感じたのを覚えている。当時はストーリーを読めさえすればよかったが、今回は金融面に注目して読んでみよう。

 

帰路。近所の本屋に寄る。以下の本をチェック。

  • 外資系コンサルの知的生産術、C1
  • ざっくり分かるファイナンス、B2
  • 八月十五日に吹く風、C2
  • そうか、君はカラマーゾフを読んだのか、B2

 

帰宅後。育児に専念。昔から大きな音が苦手なので、子供に泣かれると心底消耗する。心臓の痛みを感じる。

 

夜更かしして、『岩波イスラーム辞典』をめくる。アッラーの項目などを読む。